クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「は、はい!」


カサッと、答案用紙が返される。どこを見ても赤い○がされてあり、右上には――


「ひゃ、100点……っ?」

「そうだ、よく頑張ったな」

「〜っ!」


ポロッと零れる涙。勉強初日は「本当にやれるかな」って不安しかなかったけど……私、やり切ったんだ。


「うぅ、うぇ〜っ」

「……」


ポンッ

お父さんは無言で、私の頭に手を置いた。そして数回、頭を撫でると……いつもの険しい顔じゃない、優しい笑みを私に向けた。

その瞬間、不安な事とか辛い事とか。今まで蓋をしていたものが一気に溢れ、嗚咽が漏れるほど泣いてしまった。


「うぅ、ねぇお父さん……っ」

「なんだ」

「私……少しでも、先輩に近づけたのかなぁ?」

「――」


私の頭を撫でる、お父さんの手が止まる。少し空白の時間があった後、「もちろんだ」と。お父さんは、私の肩に手を置いた。
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