クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「抱っこしたままなのに、いろいろ器用ですね」
「……うるさいよ。凪緒こそ泣くか笑うか、どっちかにして」
「はい、すみませんッ」
だって、信じられないもん。
先輩が私に興味出てきた、なんて。
それに、嬉しいんだもん。
先輩が素直になって、本音を話してくれた事が。
――今日だって女性と会うつもりだったのに、アンタが……って、言わないからね
――牛肉が嫌いなわけじゃない。嫌いなのは……何でもない。早く食べさせてよ
いつも本音を教えてくれなかった先輩が、私に、
――凪緒に興味もつのは、俺だけで充分だから
なんて。
自分の本音を打ち明けてくれた。
二つの幸せが一気に来て、幸せすぎて……。笑顔も涙も、両方でちゃう。
この先、なにか悪いことが起きる前触れ?ってくらい、今がとっても幸せ。