クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

「それから凪緒。アイツとは、もう会うのも話すのも禁止だから」

「アイツって?」

「笹岡」


ピシャリと言った先輩に、胸が高鳴る。

え、まさか先輩……ヤキモチ妬いてくれてる?


「で、でもお互い体育祭の実行委員だし、むしろこれから限りなく会う事になるかと……」

「……冗談でしょ」


明らかに肩を落とす先輩が、可愛くて愛しくて。「やっぱりヤキモチだ!」と嬉しくなって、思い切り先輩に抱きついた。


「先輩、大好きです!」

「……ふっ。あっそ」


私をギュッと抱え直し、また歩き出す先輩。

力強く支えてくれる腕が、先輩が……今までより、もっともっと好きになった。
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