クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
頭からぷしゅ〜と湯気を出す私に、先輩はタブレットを置いて席を立つ。
そして、だんだん近づいて……「熱ある?」って。
オデコとオデコを当ててくれた。
「な、ないです、ないですっ」
「……? ふぅん」
ワタワタして、今にもマグを落としそうな私から、サラッとスマートにマグを取り返す先輩。一口飲んで、「ブラックだけどな」と不思議そうに呟いた。
その姿が尊くて、なんかもう、ここは天国かなってくらい幸せで……。
先輩の「私に興味が出た」って、こんなに甘くなるレベルなんだって感動しちゃう。
「これで付き合ったりでもしたら、一体どうなっちゃうんだろう。先輩が甘くなりすぎて、私なんて溶けちゃうよ……」
ポツリと呟いた声は、再び椅子に座った先輩の耳に届く。
「付き合ったりでもしたら……って」
言いながら、眉間にシワを寄せた先輩。
お、なんだか雰囲気が変わった。
ほらほら、先輩はこういうのだって。私がのろけた事を言うと、真顔で怒るのが先輩なんだって。
と思ったけど――