クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「はぁ~本当にカッコよかった。本当にカッコよかった!」
「二回も言わなくていいから」
「だって芹ちゃん、もう直視できないほどカッコよかったんだよ! 城ケ崎先輩!」
興奮気味に喋る私を、呆れた顔で見る
仁田(にた)芹(せり)ちゃん。
高校に入ってから仲良くなった大親友。
腰まである黒髪ロングが似合う、クールビューティな美人さん。
「そりゃ芹ちゃんくらい美人だったら、カッコイイ男の人が山ほど声を掛けてくれそうだけどさぁ。
並み中の並みの容姿をしている私からすると、城ケ崎先輩……いや、城ケ崎王子は、直視できないほど眩しい存在なわけですよ」
「自分の事を〝並み〟なんて言ってるけどさぁ。
大企業のご令嬢・ご子息が多いこの学校で、三番目に金持ちな凪緒のどこが〝並み〟なんだか。
いっそ、その権力使って城ケ崎先輩の事をオトしちゃえば?」
「その城ケ崎先輩こそが、この学校で二番目にお金持ちなんですけどね、ははは……」