クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「先輩から見たら、今の私は、さぞ〝ちょうどいい〟でしょうね……っ」
「どういう意味」
「だって、そうじゃないですかっ」
言ってて虚しくなる。
でも、わざわざ女性を家に呼ぶような人だ。
例え相手が私であろうとも〝そういう展開になればラッキー〟って思ってるに決まってる。
って、そう思ってたのに。
「ばーか」
両頬に触れる、先輩の冷たい手。
真っ赤に染まった私の顔は、絶対ヘンで笑えるはずなのに……先輩が私を見る目は、真剣そのものだった。
「婚約者が困ってる時に助けないほど、俺は冷徹ではないんでね」
「どういう……――あッ」
気付けば、耳、首筋、瞼、鼻の頭。次から次に、キスの嵐。
ちゅッ、ちゅッとリップ音が響いて……イヤな音って思った。
さっきもこうやって、女性の人とキスしたのかな?なんて。そんな事を思って悲しくなる。
だけど、