クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
教壇で大きな声で話す委員長の横で、まるで教師のように椅子に座って全体を見る先輩。
朝は私とケンカをして、あんなに剣幕だったというのに。今は学校専用のニコニコ顔を張り付けて、女子全員のハートをつかみに行ってる恐ろしい私の婚約者。
「委員長、騒がしくしてしまってすみません」
「いいのいいの、委員会が進まないよりも、献金してもらえる方が助かるもん!」
「はは。挨拶が終わったら、すぐ退室しますね」
委員長は女の先輩。テキパキと、今日決める内容について話している。
すると私の隣に座る笹岡が、こっそり私に耳打ちした。
「献金ってことは、城ケ崎も、時山と同じく学校に金を援助したってことだよな」
「そうなるね」
その時、ふと思った。
一位の時山、二位の城ケ崎が献金したら、三位の丸西家も続かないと顔がたたないよね? あとでお父さんに相談してみよう。
「そういえば笹岡、ココなんだけど…………ひぃ⁉」
「ん~?」
笹岡のんびりな声とは裏腹に、閃光が通り抜けるような視線を感じた。
辿ると……組んだ足の上に、これまた両手を組んで置いてる城ケ崎先輩。鋭い眼差しの源は、ここだった。
「おい、なんだよ丸西」