クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「ふふっ」


お父さんの声で、やっと落ち着くことが出来た。

そうだ、私には猛勉強した日々がある。あの期間を思い出して、不安を自信に変えなくちゃ!


「お父さん。私、丸西家の恥にならないように精一杯がんばるね」

『この前から何だ? 怖いくらいヤル気だな』

「もっともっと頑張らないと、欲しいモノは手に入らないって気づいたの。それに、私が頑張れば婚約破棄だって……」


うっかり口が滑り、お父さんに「婚約破棄?」と不審がられる。

上手く流して、すぐさま別の話題に移った。


「それにね、私……お父さんみたいにカッコよくなりたいって思ったの」


これは、本当。

猛勉強の一週間。
お父さんと一緒にいて気づいた。

お父さんって、本当に寝る暇がないくらい、いつも仕事をしてる。夜の九時から仕事に行くのも、たまたまじゃなく、ほぼ毎日だった。


「働いてるお父さん、本当にカッコよかった。私の憧れ! だから私も、お父さんみたいに頑張りたいの」

『! ――……そうか。どんな凪緒も応援している。やれるだけやってみなさい』

「うん、ありがとう」


ピッ
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