クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
さっきのお父さんの声、震えてるみたいだった。まさか泣いてる? ……いや、まさか。お父さんに限って、そんなことないか。
「お父さんはサイボーグだもんね。ふふ」
トヨばあと話した時のことを思い出して笑った、その時だった。
ガラッ
「えぇ、彼なら学校で上手くやってるわ」
この声……、時山先輩?
反対のドアの前に座る私が見えなかったのか、先輩はそのまま電話を続ける。
難しい話をしてる。仕事の事かな?
このまま静かにしておくのが良さそうだ。
息を殺して、先輩が出て行くのを待つ。
だけど――
「心配しないで、経過は上々よ。まずは丸西を取り込んで、その後は城ケ崎。必ずうまくいくわ、任せてお父様」
「っ!」
今、なんて言った?
ウチを取り込んで、次に城ケ崎先輩……?