クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「明日から数日は、家に帰れないほど忙しくなるから……今日は一緒にいる」
「……あっ、ありがとうございます!」
そして私と先輩は、二人並んで校門を出る。
朝はバラバラだったから、一緒にいる今が余計に嬉しくて――思わず「ふふ」と声が漏れた。
「なにか面白いことあった?」
「いいえ、何もッ」
すると先輩は、いつものように「変なの」と言った。さっきと変わらない、優しい瞳のまま。
そんな先輩に、またニヤニヤ。
心がくすぐったくて、嬉しくて。
もっと遠くに家があればいいのにって、そんなことを思った。
❁⃘*.゚