クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
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「じゃあ昨日も言ったように、しばらく忙しくなるから」

「はい、お仕事がんばってください」


朝、玄関にて。
学校ではなく、仕事にいく先輩を見送っています。

なにやら忙しくなるようで、家にも帰れないだとか……。寂しいけど、我慢我慢。


「……」

「どうかしましたか?」


私を見たまま動かなくなった先輩。何か忘れ物かな?

かと思えば、「はぁ」と。お決まりのため息。


「ちゃんと留守番できる?」

「で、できますよ! 子供じゃありません!」


「本当かな」と、眉を八の字にする先輩。

うぅ、なんて信用がないんだ私は……。


「〝先輩〟がいなくても、しっかりやるんで安心してください」

「……〝それ〟」

「え?」


グイッ

先輩は、私の腕を引っ張って自分へと手繰り寄せる。

いきなり重心が崩れ、先輩の胸に勢いよくダイブした。
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