クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「響希さんと会えないのは寂しいけど……。でも私も秘密で調査をしたいからね、ちょうどいいと思って前向きに捉えよう!」
調査というのは、もちろん。
昨日、時山先輩が話していた電話の内容。
「誰が時山先輩の協力者なのか。絶対、私が見つけてやるんだから!」
両腕でガッツポーズを作ると、カサリと音が聞こえた。音の正体を探ると、ポケットから出てきたのは四つ折りの紙きれ。
「あ、響希さんの落とし物。返すの忘れてた」
次に会った時は絶対渡そう!と意気込み、響希さんのいない学校への登校スタート。
体育祭の準備や調査と、やることは山積みだけどがんばるぞ――!
【 登校一日目 】
「丸西、昨日はごめんなぁ。俺、かなり無神経だったわ」
教室に入って早々、笹岡が謝ってくれた。スゴイ申し訳なさそうな顔してる。しょんぼり垂れた耳が見えそう。
「もういいよ、笹岡。私だって委員会もどらなかったんだし。おあいこって事で水に流そう」
「丸西……」
「それより、昨日委員会で話した内容を教えてよ!」
「おう! まかせとけ!」
そして笹岡とは仲直り。気まずい雰囲気にならなくて本当に良かった。
体育祭は、いよいよ来週。みんなで盛り上がれたらいいな!