クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

実行委員が、こんなに大変だとは思わなかった。そっか、だから響希さんと時山先輩は、実行員になってないんだ。二人とも仕事があるから……。

ん? でも、どうして笹岡は私とやりたがったんだろう。

私は仕事とかないけど、実行員に向いてるってワケでもないのに。


「どちらにしろ明日こそは調査を……、ぐぅ」


広い家。広いベッド。

響希さんがいる時は自分の部屋で寝てたけど、何日も会えなくて寂しくなっちゃったから……。二人の寝室で、横になって充電中。この寝室で、いつか二人一緒に寝たいなぁ。


「響希さん、早く会いたい……」


帰って来て、制服のまま。起きなきゃって思うけど、目は開かなくて。そのままぐっすり朝まで寝てしまった。

そして目が覚めた翌朝、シャワーを浴びるため部屋を出る。

ガチャッ


「コーヒーの香り、しないなぁ……」


って、飲む人がいないんだから、匂いがないのは当たり前か。

だけど、いつも香っていたコーヒーの香りがないと「響希さん不在」が強調されるというか……。また寂しくなっちゃって、きゅうっと胸がしめつけられた。
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