クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「あ、そうだ。いつも響希さんが飲んでるコーヒー、私が作っちゃえばいいんだ!」
いつも響希さんが使ってるコーヒーマシンを手に取る。
ふむふむ。よく分からないけど、豆を入れてココを押せば……
「って、うわあぁ!」
やり方を間違えたのか、コーヒー豆がそこら中にはじけ飛んだ。ポップコーンみたいに、パンパン音を立てて宙を舞っている。
「ひぃ、止まってよ~!」
分けわからないまま操作してると、「ガガ」と変な音がした後なんとか止まった。周りを見渡すと、コーヒー豆だらけ。
「……ぐす」
響希さんが恋しかっただけなのに、なんでこんな事になってるんだろう。
豆から漂う、わずかな匂い――だけどかいだところで、切なさが積もるだけだった。
「いって、きます……」
パタン
一人って、こんなに寂しかったっけ?
響希さん、今日こそは帰って来てくださいよ。なんだか私、メンタルが絶不調です……。