クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

「あ、そうだ。いつも響希さんが飲んでるコーヒー、私が作っちゃえばいいんだ!」


いつも響希さんが使ってるコーヒーマシンを手に取る。

ふむふむ。よく分からないけど、豆を入れてココを押せば……


「って、うわあぁ!」


やり方を間違えたのか、コーヒー豆がそこら中にはじけ飛んだ。ポップコーンみたいに、パンパン音を立てて宙を舞っている。


「ひぃ、止まってよ~!」


分けわからないまま操作してると、「ガガ」と変な音がした後なんとか止まった。周りを見渡すと、コーヒー豆だらけ。


「……ぐす」


響希さんが恋しかっただけなのに、なんでこんな事になってるんだろう。

豆から漂う、わずかな匂い――だけどかいだところで、切なさが積もるだけだった。


「いって、きます……」


パタン


一人って、こんなに寂しかったっけ?

響希さん、今日こそは帰って来てくださいよ。なんだか私、メンタルが絶不調です……。
< 242 / 291 >

この作品をシェア

pagetop