クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

メモを持っている指をずらす。

すると、そこには――


【 凪緒を守ってほしい 】


「……っ!」


あぁ、だから。
あの時二人は、あんな会話をしたんだ。


――〝頼むよ〟
――わかりました


知らないところで、私を守ってくれてたんだ。

私が傷つかないよう、秘密裏に動いてくれていた。

だけど――


「今のままじゃ、いつまで経っても響希さんに近づけないんだよ……」


出来ることなら、私に話してほしかった。
私も一緒に、悩ませてほしかった。

だから勉強したんだよ。
響希さんに追いつきたくて、必死に――

しょせん私は、守ってもらうしかないお飾り。
響希さんと釣り合わない婚約者。


「……そんなの、いやだもん」


ギュッとこぶしを握った、

その時だった。


「な~にが嫌なのぉ?」

「⁉」

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