クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「……」


床は一面、白の大理石。

部屋の真ん中に柱があり、その柱を覆うように、グルリと置かれている白いソファ。

壁=窓ってくらい、窓が大きい。有名な塔もバリバリ見えてる。

景色を見渡せ過ぎて、部屋にいるのに、まるで外にいるみたい。


広い部屋。
壁一面にある窓。
白色が基調の家具。


それらは統一感があって、逆に寂しい。

今の私の空っぽの心みたいだ。


「恋が虚しい、ねぇ。

あんな変なキャラクターがプリントされた綿百%のパンツを履く奴が、どんな恋愛してきたんだか」

「ブーっ!! み、見たんですか⁉」


すると先輩は「見えたんだよ」と。

紅茶を吹き出した私を、苦虫を嚙み潰した顔で見た。


「あんな下着で、よく入居日にノコノコやって来たね」

「あれは、お気に入りなんです……って、私の下着事情は放っておいてください!」


一足先に、椅子を立つ。

私はパンと紅茶だったけど、城ケ崎先輩はコーヒーだけ。

アレでお腹空かないのかな?
< 25 / 291 >

この作品をシェア

pagetop