クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

「笹岡、脱がして」
「……はぁ、言うと思った。

分かったよ」

「え? ――やっ!」


時山先輩の言葉とともに、笹岡が私に抱き着いた。かと思えば、足を引っかけられ後ろに倒れる。

気づいた時には、床に寝転がる私に笹岡が馬乗りになっていた。


「上の下着の中よ、さっきのメモを絶対に奪って。

奪ったあとは……分かるわよね? 前のキス写真みたいに勝手な行動したら、次はないから」

「……はいよ」


しっかりやりなさい、と言いながら、先輩は図書室を後にする。

そしてご丁寧に電気を消して、ガチャっと鍵までかけた。

ウソ、これじゃ誰も入ってこられない!


「笹岡、こんな事、絶対に間違ってるって! どいてよ!」


なんとか笹岡に改心してもらおうと、必死に呼びかける。

だけど笹岡は、いつものニコニコ顔ではなく……。私に同情するように、眉を下げて「ごめんな」と謝った。


「血の関係って切っても切れないもんでさ。逆らえないんだわ、アイツに」

「アイツって……時山先輩?」

「そー。従妹なわけ、俺と彩音は」

「!」


ここに、いた。
っていうか、私の隣にずっといたんだ。

時山先輩の協力者が――

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