クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
そして笹岡は、私の制服のボタンに手をかける。「イヤ!」と抵抗するも、力じゃ敵わず、されるがまま。
「笹岡、止まって……っ」
この先を想像すると、手足のみだった震えが、瞬く間に全身に広がった。
このまま私、笹岡に――?
あぁ、ダメだよ。ダメ。
だって私には、響希さんしかいないもん。
「凪緒」
「名前で、呼ばないで……っ!」
私を名前で呼んでいいのは響希さんだけ。
私に触っていいのも響希さんだけ。
もう私の心の中、
響希さんしかいないんだよ――
「助けて、響希さん!」
❁⃘*.゚