クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

「時山の娘が、凪緒や響希くんに近づいてきた――ということは、時山の経営が傾いている可能性が高い。

他会社を吸収して力を取り戻そうという腹だろうが……響希くんから話を聞く限り手段を選ばないようだし、エスカレートして事件にでも発展したら大変だ。

事が起きる前に、潔く引退できるよう〝引導を渡してやる〟のがライバルってもんだろう。城ヶ崎社長も両手を挙げて賛成してくれたぞ。ニュースを見るのが楽しみだと」

「城ケ崎家にとって、時山家は目の上のタンコブでしたから。排除できる算段をたててくれたお父さんに、頭が上がらないでしょう」

「ふっ、城ケ崎家と並ぶことが丸西家の目標だからな。夢に一歩近づけたのなら喜ばしい」


話ながら、着々と出かける準備をするお父さん。

これから城ケ崎の会社に行って「時山が倒産した後の話」をするらしい。俺も同席するため、ドアの前へ移動する。
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