クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

「……言っておくが、まだ孫は早いからな」

「っ、ごほ! ごほ」


これ以上ここにいると険悪な雰囲気になりそうなので、「失礼します」と足早に退出した。

そして、部屋の外で待機していた安井と合流する。


「響希様、長丁場のお仕事お疲れ様でした。マンションまでお送りします」

「いい。これから学校へ行く」


言うと安井が「えぇ⁉」と声を上げた。


「三日寝てないんですよ? 授業を受けたところで頭に入って来ませんって」

「違う」


ピシャリと言い切ると、安井は首を傾げた。


「では、何をしに学校へ?」

「……俺が、待ちきれないだけだ」
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