クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「言っておくけど、この部屋の家賃はウチが払ってる。この部屋の事に、アンタがとやかく言う権利はないよ」
「っ!」
鋭い目。怖い雰囲気……。
なんで、そんなに私を拒絶するの?
そんなに婚約が嫌だったの?
「先輩は、私のことが嫌いなんですね」
「なに言ってんの」
「だって……」
と視線を落とした私の頭上から。
冷徹な先輩の声が落ちてくる。
「好き嫌い以前に、アンタには興味すら湧いてない」
「――……っ」
昨日はあれほど私に触れてくれたのに。
今は一切も寄せ付けないオーラ。触るなって、先輩の全身から、私に命令が出ている。
抑揚のない淡々とした声が堪らない。
胸がギュッと、締め付けられた。
「そう、ですか……っ」
ココにいると泣いてしまいそうで、「逃げちゃダメ。話をしなきゃ」って思ってるのに。
心がポッキリと折れてしまい、震える足にムチを打ちながら席を立つ。
ガタッ
「……ごちそうさまでした」
「……」
逃げるように部屋を去る私を、先輩が止めることはなかった。
𑁍𓏸𓈒
「性的な目では見てくれたのに、凪緒自身には全くスルーってこと?」