クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
【 時山家 裏取引で大儲けか⁉ 】
「な、なにこれ……。なにこれ⁉」
先輩は俺からスマホを奪い、しゃがみ込んでニュースを確認する。その間に、俺は安井へ電話し「図書室に急げ」と伝えた。
「笹岡とのメールのやりとり。削除されていたようですが、裏解析で戻しておきました。
凪緒の居場所を教えてくださり、ありがとうございます」
「こ、こんなことして、お父さんが黙っていると、」
思っているの――!と叫ぶ寸前。
俺は座り込む先輩の真横へ、ダンッと足を降ろす。
「いろんな汚い手を使って、さんざん上からの景色を楽しんだんだ。だから先輩、交代です。
これからは城ケ崎家と丸西家がてっぺんに立つ。
あなたの席は、もうありません」
「……っ」
ねぇ時山先輩。
アンタが、俺と同じお金持ちのクズで良かった。
考えが似ている者同士、アンタの企みはだいたい察しがつくからだ。