クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「時山先輩に協力者がいるって知って……。それは名字の違う血縁関係者じゃないかって、そう思って……。
それで図書館で調べてたら、笹岡と時山先輩が来て……。二人は従妹だって知って……」
「……そう」
「わ、私……ちゃんと、見抜けてました、よね? 血縁関係じゃないかって、予想もできました。
だから。私……、
少しでも、響希さんに近づけましたよね? ちょっとは、つり合えましたよね……っ?」
だから、だからね――
「婚約破棄だけは、しないでくださぃ……っ」
「ッ!」
その瞬間。
ぎゅっ、と。温かな体温に包まれる。
そして「バカだなぁ」なんて。
呆れた声が、耳元で聞こえた。
「ば、バカなんて……ひどい」
「バカだよ。余計なことして、ピンチになってさ」
「余計なことじゃありません! だって響希さんの役に立てないと、私……婚約破棄させられる。そしたら、もう一緒にいられませんっ」
ボロボロと涙を流す私を見て「どこで勘違いしたんだか」と、響希さんは呆れた。