クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

「ねぇ……、響希さん。
これは、勘違いなんかじゃないですよ。

響希さんと私、やっと心から婚約者になれたんです!」

「――、うん」


私が答えた後、響希さんは一瞬だけ目を細めた。

次にギュッと抱きしめて……、まるで自分の顔を隠してるみたい。


「ひょっとして……泣いてますか?」

「なわけないでしょ」


即答された!
謝ると「確かめてるんだよ」、とのこと。

確かめる? なにを?


「笹岡に何もされてないか確かめてるの。動くと危ないから、そのままジッとしてて」

「えぇ……⁉」


危ないって、なに⁉

物騒なワードに顔を青くしていると「そう言えば」と響希さんの含み笑い。


「俺に隠し事したらって約束、覚えてる?」
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