クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「じゃあ……、朝まで離さないでください」
「っ! ん、わかった」
私が何て返事をするのか、緊張したらしい。
響希さんが「はぁ」と、長い息を吐いた。
「響希さんでも緊張するんですね……?」
「そりゃするよ、好きな子だもん」
「……あ、ぅぅ」
愛のダメージが、計り知れない……っ。
淡々と紡がれる言葉に、これでもかってくらい愛が埋め込まれてる。
響希さん、分かってますか?
その言葉、私にとって瀕死レベルなんですよ?
「うぅ~」と。いつまでも悶える私を横目に、響希さんが窓から何かを見つけた。
「横断幕、四つ揃ってるね」
「そうなんです、花チームも頑張りました! 響希さんは、どれが好きですか?」
「うーん」
見た目だけでは、どのチームが作ったか分からない横断幕。その中で響希さんが「これ」と指さしたのは――