クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

確かに……。

朝、先輩はコーヒーだけだった。タブレットでニュースを見て……。

でも、それなら自分の部屋で出来るよね?

むしろ小言を言う私がいない方が、ゆっくり出来たはず。


「あの時、先輩は……どんな気持ちで一緒にいてくれたんだろう」


ギュッ


期待がこもった手に、力が入る。

頭の中には……王子様じゃない、家での先輩が浮かんでいた。


「芹ちゃん。私、やっぱり頑張ってみたい。仲の良い婚約者まではいかないだろうけど、ケンカのない私たちを目指したい。

って……やっぱり夢を見すぎかな?」

「ううん。いいんじゃない?」


芹ちゃんは、長い髪の毛を耳にかけながら笑った。


「今の凪緒、すごくカッコいいし可愛いよ。

いっぱいぶつかる事で理想の関係に近づくなら、いくらでもぶつかればいいと思う」
< 30 / 291 >

この作品をシェア

pagetop