クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
確かに……。
朝、先輩はコーヒーだけだった。タブレットでニュースを見て……。
でも、それなら自分の部屋で出来るよね?
むしろ小言を言う私がいない方が、ゆっくり出来たはず。
「あの時、先輩は……どんな気持ちで一緒にいてくれたんだろう」
ギュッ
期待がこもった手に、力が入る。
頭の中には……王子様じゃない、家での先輩が浮かんでいた。
「芹ちゃん。私、やっぱり頑張ってみたい。仲の良い婚約者まではいかないだろうけど、ケンカのない私たちを目指したい。
って……やっぱり夢を見すぎかな?」
「ううん。いいんじゃない?」
芹ちゃんは、長い髪の毛を耳にかけながら笑った。
「今の凪緒、すごくカッコいいし可愛いよ。
いっぱいぶつかる事で理想の関係に近づくなら、いくらでもぶつかればいいと思う」