クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「芹ちゃん……ありがとう!」


きっと前途多難だと思う。
この先にあるのは、障害ばかりだ。

だけど諦めない。頑張るんだ!

先輩と、心から婚約者になるために!!



――って。そう思っていたのに。



「あ、城ケ崎く~ん」

「時山先輩、こんにちは」


とある廊下にて、私は見てしまった。

私の婚約者(二位)が、時山先輩(一位)と話しているところを。


「聞いたよ~、丸西さんと婚約したんだって?」

「さすが、情報が早いですね」

「ニュースでもバンバン出てるしね、気づかない方がおかしいって!」


毛先が内巻きの、黒髪のボブ。
小顔な時山先輩に、とても似合っている。

目は、小動物みたいな愛らしさ。
制服を着ていても分かる、華奢な体つき。
だけど、どこか大人のオーラがある女性。

それが、時山先輩。


「……っていうか、」


え、ちょっと待って。

時山先輩って、女の人だったの⁉
てっきり男の人だと思ってたよ!


「城ケ崎くん、また背が伸びた?」
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