クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「はは、変わらないですよ。先輩こそ、また縮んだんじゃないですか?」

「あー、背が低いのを気にしてるのに!」


っていうか。

時山先輩が女性だったって事よりも……今の城ケ崎先輩に衝撃を受ける。

だって、だって。


あんな風に笑う先輩を、私は知らない。


学校での王子様スマイルでもない。
家にいる時のクズな顔でもない。

お金持ちとか、権力とか。

そんなものを全部取っ払った、普通の男子高校生の顔をしている。


「いいじゃないですか。小さい先輩の方が可愛いし、俺は好きですよ」

「ふふ、ありがとう。いつも城ケ崎くんは優しいね」


優しい目。
穏やかな話し方。

勘違いなわけがない。

アレは――

恋している人の雰囲気だ。
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