クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「はは……。バカだなぁ、私」
そうか、そうだったんだ。
だから先輩は朝、あんな事を言ったんだね。
――俺たちの結婚は形だけだから。昨日も言ったように、俺は俺で好きにするし、アンタはアンタで好きにしたらいい
――アンタには好き嫌い以前に、興味すら湧かないから
どうして、そこまで冷たいのって思った。
冷徹すぎて不満だった。
だけど今。その答えが分かった。
「そうだ、また今度パーティがあるんだけど来てくれる?」
「もちろんですよ。でも行くからには、俺にエスコートさせてください」
「ふふ、考えとく!」
「今度は逃げないでくださいよ」
先輩の本当の気持ちが、頬を染めた顔に、これでもかというほど現れていた。
城ケ崎先輩は、
時山先輩のことが好きなんだ。
𑁍𓏸𓈒