クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

「会社に寄ってたんだよ。知ってるでしょ? 学校の近くに城ケ崎の会社がある事くらい」

「あ、会社……なんだ、そっか」


ホッ、と安堵の息が漏れる。

良かった。
私が嫌で、遅く帰ったわけじゃないんだ。


「そうだ。先輩、お腹空きましたよね。すみません、何も用意してなくて……。コンビニで何か買ってきます」


学校から直帰して何も手に着かない状態だったから、晩ご飯の存在を忘れてた。

わ~、しまった。
もう八時だし、先輩お腹すいてるよね?


「すぐ行ってきます。先輩は先にお風呂に入って、」

「いらない。会社の人と食べて来たから」

「あ……、そうですか」


そりゃそっか。こんな時間だもん。

あ、でも私の分はどうしよう。

冷蔵庫には何もなかったし、朝のパンをまた……って気分にはならない。


「やっぱり、コンビニ行ってきます」

「……今から?」
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