クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「一晩ロビーで過ごそうかな。あ、このマンションってゲストルームもあるんだっけ。まだ空いてるかな?
あした城ケ崎先輩が登校する時、事情を話して鍵を貸してもらおう」
無謀かもだけど、先輩も私の姿を見なくて済むし。ちょうどいいじゃない?
私のことに興味ないって言ってたし、私が一晩帰らなくても気にしないでしょ。
「……なんか、虚しくなってきた」
泣きそうになるのを我慢して、とりあえずエレベーターを目指す。
数歩あるけば移動完了。部屋とエレベーターが近いのは嬉しい。
ピッ
↓ボタンを押して、エレベーターが来るのを待つ。
廊下は身だしなみ最終チェックのためか、両脇に鏡が埋め込まれていた。
「はは……、ヒドイ顔」
その鏡に写る、自分の元気のない顔。
目は赤いし、口元も下がってる。髪の毛すら覇気がないように見えるよ……。