クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「ね、お金持ちなんて良い事ないでしょ? この先も悪い事しかなさそうで嫌だなぁ」
――――と芹ちゃんと話していたのが、一か月前。
今はGWも終わり、一学期の中間テストも何とか乗り切って気が抜けた六月。
そろそろ梅雨にさしかかる、という季節に。
なんと私は、
「本日は私たちのためにお集まりいただき、ありがとうございました。未熟なふたりではございますが、温かい家庭を築いてまいります。今後とも何卒よろしくお願いいたします」
憧れを通り越してLoveの感情を抱いているあの城ケ崎先輩と、婚約していた。
「今日という良き日を迎えられたのは、ひとえに皆さまのおかげです。これから結婚式などでお力をお借りすることもあると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします」
振袖を着た私が、深々とお辞儀をする。
すると、先にお辞儀していた城ケ崎先輩と、頭が畳につきそうな低い位置で目があって……
「(ニコッ)」