クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
その時、月の光で薄茶色の髪をキラキラ光らせた先輩は、「はぁ〜〜〜」と。
それはそれは深いため息をついた。
「八時で真っ暗だっていうのに、普通一人で出かける? ついてきて、とか。そのくらい言いなよ」
「だって私のご飯を買いに行く訳ですし……」
モゴモゴ言葉を詰まらせながら言うと、眼光鋭い先輩と視線が合う。
ひぃ!
どこのラスボスですか、先輩はっ!
「〝俺と婚約した〟って忘れたわけじゃないよね?
俺はアンタの家からアンタを任されてる。イコール、アンタに何かあったら俺の責任ってわけ。そんな事も分かんないの?」
「いえ、そうではないかなとは薄々……」
「……へぇ。じゃあ何?
夜の八時に一人でコンビニに行こうとしたのは、俺への嫌がらせって事?」