クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
タブレットから目を離した先輩。
だけど一秒後には、また視線を戻した。
『言ったでしょ。アンタとは形だけの婚約だって』
『でも、』
『それに綿百%の下着を履くような女なんて願い下げだし』
なっ……!
まだ覚えてたんだ……!
『ってかアンタが嫌なら、今日はホテルに泊まれば? ココに帰らなければいいだけの話だし』
『……っ』
制服を着た先輩が、涼しい顔でコーヒーを飲む。絵になる姿が腹立つ。
先輩の言葉でどれだけ私が傷つくか知らないで飲むコーヒーは美味しいですか?って、嫌味全開で聞いてやりたい。
『先輩は……どうしてフラフラしてるんですか?』
『どういうこと』
だって、そうじゃん。
先輩には、私という婚約者がいるけど。
それ以外にさ。
時山先輩っていう、好きな人がいるじゃん。
『時山先輩の事が好きなら、他の人じゃなく、時山先輩を誘ったらイイじゃないですか。なんで逃げてるんですか?』
『ちょっと待って。どうしてアンタが先輩のこと、』