クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「せ、先輩には関係ありませんっ」

「いや張本人なんだけど。

……ふーん、そっか」


言い終わるか否かのタイミングで。正座する私に合わせるように、同じく先輩もしゃがむ。

そしてジリジリと近づいてきて……気づけば肘で体を支えるまでに、私は傾いていた。

体の両サイドに、先輩の手が置かれている。逃げ場はない。


「せ、先輩、近いです!」

「ねぇ、今キスしてあげようか?」

「……へ!?」

「俺のこと好きなんでしょ? ほら目をつむりなよ」

「〜っ」


さっきより、もっともっと顔が熱くなる。

なにこれ?
何この状況?

どうして先輩とキスする流れになるの!?


「か、からかわないでください……!」

「からかってないよ」


先輩は本気らしい。スッと目を瞑って、私に唇を寄せてきた。


本当に、このまま先輩とキスしちゃうの――?

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