クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「……今の話のどこに〝変な要素〟が?」

「だって、そうじゃん。いつか俺が、アンタを好きになると思ってるの?

片思いが報われると信じてるなんて、傑作だよ」

「っ!」


なんで先輩って、いつも夢のないことを言うんだろう。

それとも、男の人って皆そうなの?
マイナス思考な生き物なの?


「ってかさー。婚約者の俺に相手にされない。ばかりか俺に好きな人がいるって知ってるのに、よくココから逃げないね」

「だって一緒に住んでないと、正面から先輩とぶつかれないじゃないですか……」

「ぶつかるって……相撲の稽古?」

「あ、揚げ足とらないでくださいっ」


こっちが真剣な話をしてるってのに、先輩は「うるさいなぁ」と顔を歪めるだけ。全く心に響いてない。

ばかりか時計をチラリと見た後、さっさと私から離れて登校する準備を始めた。

そして三分後。
真剣な話し合いから一転、
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