クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
私って、先輩にとってどういう存在?って。
聞くだけ野暮。
全身全霊で打ち明けた私の本音を聞いても尚、先輩は今日ここに女の人を呼ぶだろう。
私の声なんて届かないし、私の姿さえ、あの瞳に写らない。本当に、形だけの婚約者。
「はぁ…………、あれ?」
腹立つ、ムカつく――
それらの感情の中に、ポツンと孤立する違和感。
それは、さっき先輩が言った言葉。
――片思いが報われると信じてるなんて、傑作だよ
ねぇ、城ヶ崎先輩。
あなただって、時山先輩に片思いをしてるでしょ?
なのに、どうして。
そんな寂しいことを言うの?
❁*。