クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「城ケ崎くんは体育祭実行委員しないの?」
「仕事があるので。時山先輩もでしょ?」
「ふふ、当たり」
なんて。体育館の端で話しているというのに、美男美女のオーラで目立っている二人。
見てよ。
城ケ崎先輩の、あの優しい目を!
あんな穏やかな顔、家では見たことない!
「はぁ……所せん、月とスッポンか」
最近になって有名になった成金の私とは違って、あの二人は小さな頃からお坊ちゃまお嬢様として育てられた。
だからかな。
にじみ出る品格が、全然違う気がする。
城ヶ崎先輩にお似合いなのは私じゃなくて、時山先輩だよ……。
「なー、丸西。俺と体育祭の実行委員しねー?」
「こんなミジンコな私でもお役に立てるなら……。って、え?」
「ヨッシャー! じゃあ先生に言って来るわ!」
すたこらさっさーと体育館のステージに行ったのは、同じクラスの男子。
え、あれ?
もしかして、とんでもない事が決まっちゃった⁉
オロオロしていると、ポンと私の背中を叩く誰か。
ま、まさか城ケ崎先輩が私を慰めに――!