クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
何がなんだか分からないまま用意をしていると、お母さんがお高そうなショッピングバッグを持って、私の部屋に入って来た。
『はい、これ』
『下着? レースや刺繍がいっぱい……可愛いね。貰っていいの?』
するとお母さんは「いいも何も」と、私が着ているワンピースの裾をチラリとめくった。
『こんな綿百%の下着じゃ、響希くんも喜ばないだろうしね』
哀れむお母さんの瞳の中に、私が好んで買ったクマのキャラクターがプリントがされている下着が写っている。
『ひゃあ⁉ お母さんのヘンタイ! それに、なんで城ケ崎先輩が出てくるの!』
するとお母さんは呆れたのか、ため息を一つ。
『なんでって……これから響希くんと一緒に住むんだから、そういう事も視野に入れておかなきゃ。綿パンに愛想つかされて婚約破棄になったら、大変だもの』
『へ?』