クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

「じょ、城ケ崎先輩? どうしてここに」

「アンタこそ。チャイム鳴ってるけど?」


え、チャイム?

意識を集中させると……ほ、本当だ。大きな音で鳴ってる。

考え事に集中してて、全然聞こえなかった。


「授業は、いいんです。友達に言ってありますし」

「ふぅん――それで?

俺が惨めで可哀そうって理由だけで、授業サボって一人メソメソ泣いてたわけ?」

「はい……って、え⁉」


「俺が惨め可哀想で」って、どうしてソレを⁉

すると城ケ崎先輩は「勝手に哀れまないで」と、切れ長の目を細めた。


「今までどれだけ女性を相手にしたと思ってるの。時山先輩の考えてることなんて、百も承知だよ」
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