クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「え、先輩。なにか言いました?」

「……何でもない。動くよ」

「ひゃうっ」


ひょい、と。私を背中に乗せ、立ちあがる先輩。

滑らかな動きに、先輩の力強さを感じた。


「……」
「……」


なんか、変な感じ。

学校で「時山先輩とお幸せに」的な事を言った私が、こうして先輩におんぶされてるなんて。


「ねぇ、先輩」


私、お昼に啖呵切っちゃったけどさ。
時山先輩とお似合いですよって言っちゃったけどさ。

でも本当は、城ケ崎先輩には私を好きになってほしいんだよ。

それが本音。


「私、先輩のことが好き」

「ふぅん。それで?」

「私じゃ、時山先輩の代わりになりませんか?」
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