クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「し、したい……です」

「ここ外だけど?」

「家に帰ったら、先輩の思考が正常化するじゃないですか。またドライな先輩に戻っちゃうでしょ?

そうなったら、先輩の心から私はいなくなっちゃう。だから今、キスしたいです」


すると、城ケ崎先輩は「ふはッ」と笑った。


「じゃあ今の俺って、狂ってるって事?」

「~っ。そういう、事です」


屈託のない笑み。
はじける笑顔。
こんな顔をするなんて……。

本当に先輩、いま狂ってるかもしれない。

そんな先輩にキスをせがむのはイケない事な気がして。なぞの背徳感に、ドキドキする。

もちろん。
これから起こることにも――


「……いいよ。長いキスをしてあげる」

「え、」

「ただし、キスで俺を楽しませること。できなかったら即やめる」
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