クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「~っが、がんばります……!」



先輩の前に立ち、一歩ずつ近寄る。
そして両頬を、私の手で覆った。

すると背伸びしても届かない身長差に気付いてくれたのか、先輩が背中を丸める。


「……っ」


先輩の顔は、もう目の前。
カッコよくて、直視できない。

今から先輩に、好きなだけキスしていいと思ったら……っ!

心臓がドクドク言い過ぎて、体がフラッと揺れる。

すると――


ぎゅっ


「遅い、時間切れ」

「え、――んっ!」


抱きしめて私を固定した後、先輩が口を塞いだ。

角度を変え、私の唇にいくつものキスを落としていく。


「ん、ぁ……、先輩、はげし……っ」

「上手くできなかった罰だよ」

「ば、んん……っっ!」


時間切れになったのに。
先輩を楽しませることが出来なかったのに。

それでも止まることない、キスの嵐。

これのどこか罰ゲームなの?
だって、こんなの――
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