クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「ぅあっ、」
「おっと」
たくましい笹岡の腕が、よろけた体を支えてくれる。
私の腰に回った笹岡の腕。グイッと引っ張られると、二人の距離が急に近くなった。
「大丈夫かよ?」
「だい、じょうぶ。なんかクラッとして」
「こりゃ、やっぱ俺の家に行くしか、」
「もう。冗談聞いてる暇ないから、帰るね」
べりっと笹岡を離して、家に戻るため回れ右をする。
すると「丸西」と。
掛け声と共に、何かが飛んできた。
ポスンッ
振り向いた私の腕に飛び込んだのは、笹岡が買ったイチゴ味の炭酸ジュース。
え、笹岡の飲みかけをもらっても……。それに、コレ飲んだら間接キスになるじゃん。
むせた時に強引に飲まされて、もう口つけちゃったけどさ!
「もし誰かに何か聞かれたら〝コレ零しました〟って証拠になるだろ。持っとけよ」
「あ、そっか。ありがとう笹岡」
「それと、俺の電話番号をラベルにメモったから登録よろしく。実行委員同士、これから連絡とる機会ふえそうだし」