クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

パソコンから目を離し、私が書き置きしたメモを握り潰す城ケ崎先輩。

その目には「デレ」なんて一切なく。

むしろ、いつもの冷徹さに磨きさえかかっている。


……そう。
私は知らなかった。


先輩の仕事部屋から、一望が眺められる事を。

その景色の一つに、私と笹岡も含まれていた事を。

そして――


「間接キスに熱いハグ、ねぇ」


さっきの私たちの一部始終を先輩に見られていたなんて。

そんな事実、知る由もなかったのでした。



𑁍𓏸𓈒


< 95 / 291 >

この作品をシェア

pagetop