クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
パソコンから目を離し、私が書き置きしたメモを握り潰す城ケ崎先輩。
その目には「デレ」なんて一切なく。
むしろ、いつもの冷徹さに磨きさえかかっている。
……そう。
私は知らなかった。
先輩の仕事部屋から、一望が眺められる事を。
その景色の一つに、私と笹岡も含まれていた事を。
そして――
「間接キスに熱いハグ、ねぇ」
さっきの私たちの一部始終を先輩に見られていたなんて。
そんな事実、知る由もなかったのでした。
𑁍𓏸𓈒