クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です

シュッ

まるでボールのように飛んできて、カランと鍋の中に収まる「なにか」。

よく見るとそれは、笹岡からもらったペットボトルだった。


「……んん?」


なんでペットボトルが鍋にゴールイン?
っていうか、ペットボトルの中身は?
いつの間にか空になってるんですけど?

私が何も知らないとなれば、可能性があるのは、この場にいるもう一人。なんだか寒気がして、顔の横をたらりと汗が流れる。


「先輩、今これ投げました?」


控えめに先輩を見る。
すると――


「いらないから捨てた。それが?」


先輩の顔に笑顔はなく、いつもの冷徹な表情。

ヒィッ! こ、こわ!!
先輩、シャレにならないくらい怖いから!


「捨てたって……な、中身はどうしたんですか? まだ半分くらい残ってたのに」

「あぁ、それなら」


と、先輩は私から視線を外す。

次に、いつの間にかボールに入ってる牛肉を見た。一緒に入ってるのは……見たことある赤いジュース。

ま、まさか、これって……!

私の顔が青くなったと同時に、「知ってる?」と先輩。
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