クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です
「肉は果物につけると柔らかくなるんだ」
「へ……?」
「そのペットボトルから〝臭いくらい〟イチゴの匂いがしたから、さぞ柔らかくなるだろうね」
「っ!」
やっぱり! お肉と一緒に入ってるのって、笹岡のくれたジュース!
先輩が中身の全部をボールに入れたから、空になってたんだ!
「せ、先輩、料理の知識まであるんですか、さすがですね。けど物を投げるのは禁止です……! 私に当たったらどうするんですかッ」
「当たらないよ。俺はそんなミスしない」
「ま、万が一ということもあります! いくら軽い物でも、当たりどころ悪かったら死んじゃいますからね!?」
「さっき〝天に召されてもいい〟って言ってたじゃん」
うぇ……!?
そんなの、言葉のあやに決まってるじゃん!
「先輩だって私がいなくなったら寂しいですよね? だから投げるのバツです!」
「別に寂しくないけど?」
「そこはウソでも〝そうだね〟って言ってくださいぃ!」