クズで冷徹な御曹司は、キケンな沼です


「肉は果物につけると柔らかくなるんだ」

「へ……?」

「そのペットボトルから〝臭いくらい〟イチゴの匂いがしたから、さぞ柔らかくなるだろうね」

「っ!」


やっぱり! お肉と一緒に入ってるのって、笹岡のくれたジュース!

先輩が中身の全部をボールに入れたから、空になってたんだ!


「せ、先輩、料理の知識まであるんですか、さすがですね。けど物を投げるのは禁止です……! 私に当たったらどうするんですかッ」

「当たらないよ。俺はそんなミスしない」

「ま、万が一ということもあります! いくら軽い物でも、当たりどころ悪かったら死んじゃいますからね!?」

「さっき〝天に召されてもいい〟って言ってたじゃん」


うぇ……!?
そんなの、言葉のあやに決まってるじゃん!


「先輩だって私がいなくなったら寂しいですよね? だから投げるのバツです!」

「別に寂しくないけど?」

「そこはウソでも〝そうだね〟って言ってくださいぃ!」

< 99 / 291 >

この作品をシェア

pagetop