義弟に婚約者を奪われ、悪女として断罪されましたがなぜか邪神に溺愛されハッピーエンド?を迎えることになりました🐍
4.愛のない婚約と知ったから
「ラン」
今までの二人の距離感や食堂での二人のやり取りがどうしても気になって、私は屋敷に帰ってすぐランに声をかけた。普段、私から声をかけることはあまりない。名前を呼ぶことも。だからランが驚くのも無理はない。
まぁ、気にしないけど。
「あなたとアラン様ってどういう関係なの?」
私の質問の意図が分からなかったみたいで、ランは首を傾げながら私の言葉をオウム返しした。
「アラン様と随分、親しいのね」
「そりゃあ、アランは義姉さんの婚約者だもん。つまり僕にとっては義兄。身内になるんだから当然じゃないか」
「・・・・・」
今まで、なんとなく思っていたことだけど。ランって見た目に反して図々しい性格しているわよね。
私とあなたが家族だなんて、冗談じゃない。
自分の立場、自分がなぜ生まれたのか彼にはまるで自覚がない。だからこそ、腹が立つ。いくら彼に罪はないと自分に言い聞かせても、湧き上がる怒りが時折、恨みに変貌する瞬間がある。それをいつも飲み込んでる。表に出して良い感情じゃないから。
私は気持ちを落ち着かせるために一度、息を吐いた。
「本当にそれだけ?」
幼さのの頃顔で首を傾げられても可愛いとは思えない。むしろ、その仕草でさえ、あざとく見えてストレスの一つになる。いえ、彼にその気がない。私の偏見ね。
「義姉さんが何を言いたいのか分からないよ。僕とアランの何を疑っているの?義姉さんは自分の婚約者が信じられないの?」
「っ」
痛いところを突く。どうしてこういうことばかり気づくのだろう。自分の立場や私との関係性は鈍感なのに。
「酷いよ、義姉さん。自分の婚約者を疑うなんて」
酷い、ことなんだろうか?
だって、アランは明らかに私を邪険にしている。私よりもランといる方が楽しそうだし、ランに気を許している。
だから疑ってしまうのは酷いこと?
別に、アランのことを愛しているわけではない。政略による婚約だ。それでも、いずれ夫婦になることを考えれば良好な関係を築きたいとは思っている。
私の母は失敗して、死んだ。私も、母のようになるのだろうか?それは絶対に嫌だ。だから危ない芽は積んでおきたいのだ。
「アランのことを信じてあげて。アランは義姉さん一筋だよ」
は?
何を言っているの?何か勘違いしてない?
「・・・・あなたは、私と彼が愛し合っていると思っているの?」
「もちろんだよ」
曇りなき目と無垢な笑顔に何も言えなかった。彼の無垢な姿が眩しくて言葉を失ったんじゃない。貴族の結婚の意味を分かっていない彼に絶句したのだ。
「だってアランと義姉さんは婚約者じゃないか。お互いに思い合っているから婚約したんでしょ」
彼はずっと平民の感覚のまま、自分が貴族になった自覚もなく貴族として生きて来たのか?なんと愚かな。今までよく無事だったわね。彼の存在はまるで奇跡のようだ。私の関係がないところで起こし欲しい奇跡ではあるけど。
「お互いを尊重し合える関係を築けたらいいと私は思っているわ」
「えっ」
「たとえ愛がなくともね」」
「どういうこと」
「そのままの意味よ。私たちは貴族。貴族の結婚は契約、ビジネスよ。愛し合っているから婚約して、結婚するわけじゃない」
現に私の父が心から愛していたのはセザンヌだった。セザンヌという恋人がいながら彼は私の母と結婚した。これが貴族なのだ。
「義姉さんは、アランのことを愛してないの?」
「ええ」
「そんなのおかしいよっ!」
「何もおかしくはないわ」
「でも、だったら・・・・・っ」
「何?」
「何でもない」
ランは首を左右に振り、俯く。彼の何かを耐えるような表情、初めて見たわね。
何に耐えているのかは知らないけど、いい気味ね。たまには、そうやって耐える辛さに打ちのめされれば良いのよ。
「話しが脱線したわね。愛のない婚約だけど、婚約は婚約よ。あなたとアラン様がただの友達なら良いの。私の考え過ぎだったわ。ごめんなさいね。でも、思わず疑ってしまうほど二人の距離感がおかしかったのも事実よ。愛のない結婚でも、蔑ろにされたいわけじゃないの。あなたに理解を求めてはいないわ。でも、それだけは念頭において欲しいの」
私は母のようになりたくはないから。あなただって自分の母親みたいに日陰者にはなりたくないでしょう。正妻の死を今か今かと待ち望む日々なんてきっと疲れるだけよ。ましてやあなたは男。あなたの母よりも貴族社会はあなたに冷たく当たるでしょうから。
「私が言いたいのはそれだけよ。それじゃあ、失礼するわね」
今までの二人の距離感や食堂での二人のやり取りがどうしても気になって、私は屋敷に帰ってすぐランに声をかけた。普段、私から声をかけることはあまりない。名前を呼ぶことも。だからランが驚くのも無理はない。
まぁ、気にしないけど。
「あなたとアラン様ってどういう関係なの?」
私の質問の意図が分からなかったみたいで、ランは首を傾げながら私の言葉をオウム返しした。
「アラン様と随分、親しいのね」
「そりゃあ、アランは義姉さんの婚約者だもん。つまり僕にとっては義兄。身内になるんだから当然じゃないか」
「・・・・・」
今まで、なんとなく思っていたことだけど。ランって見た目に反して図々しい性格しているわよね。
私とあなたが家族だなんて、冗談じゃない。
自分の立場、自分がなぜ生まれたのか彼にはまるで自覚がない。だからこそ、腹が立つ。いくら彼に罪はないと自分に言い聞かせても、湧き上がる怒りが時折、恨みに変貌する瞬間がある。それをいつも飲み込んでる。表に出して良い感情じゃないから。
私は気持ちを落ち着かせるために一度、息を吐いた。
「本当にそれだけ?」
幼さのの頃顔で首を傾げられても可愛いとは思えない。むしろ、その仕草でさえ、あざとく見えてストレスの一つになる。いえ、彼にその気がない。私の偏見ね。
「義姉さんが何を言いたいのか分からないよ。僕とアランの何を疑っているの?義姉さんは自分の婚約者が信じられないの?」
「っ」
痛いところを突く。どうしてこういうことばかり気づくのだろう。自分の立場や私との関係性は鈍感なのに。
「酷いよ、義姉さん。自分の婚約者を疑うなんて」
酷い、ことなんだろうか?
だって、アランは明らかに私を邪険にしている。私よりもランといる方が楽しそうだし、ランに気を許している。
だから疑ってしまうのは酷いこと?
別に、アランのことを愛しているわけではない。政略による婚約だ。それでも、いずれ夫婦になることを考えれば良好な関係を築きたいとは思っている。
私の母は失敗して、死んだ。私も、母のようになるのだろうか?それは絶対に嫌だ。だから危ない芽は積んでおきたいのだ。
「アランのことを信じてあげて。アランは義姉さん一筋だよ」
は?
何を言っているの?何か勘違いしてない?
「・・・・あなたは、私と彼が愛し合っていると思っているの?」
「もちろんだよ」
曇りなき目と無垢な笑顔に何も言えなかった。彼の無垢な姿が眩しくて言葉を失ったんじゃない。貴族の結婚の意味を分かっていない彼に絶句したのだ。
「だってアランと義姉さんは婚約者じゃないか。お互いに思い合っているから婚約したんでしょ」
彼はずっと平民の感覚のまま、自分が貴族になった自覚もなく貴族として生きて来たのか?なんと愚かな。今までよく無事だったわね。彼の存在はまるで奇跡のようだ。私の関係がないところで起こし欲しい奇跡ではあるけど。
「お互いを尊重し合える関係を築けたらいいと私は思っているわ」
「えっ」
「たとえ愛がなくともね」」
「どういうこと」
「そのままの意味よ。私たちは貴族。貴族の結婚は契約、ビジネスよ。愛し合っているから婚約して、結婚するわけじゃない」
現に私の父が心から愛していたのはセザンヌだった。セザンヌという恋人がいながら彼は私の母と結婚した。これが貴族なのだ。
「義姉さんは、アランのことを愛してないの?」
「ええ」
「そんなのおかしいよっ!」
「何もおかしくはないわ」
「でも、だったら・・・・・っ」
「何?」
「何でもない」
ランは首を左右に振り、俯く。彼の何かを耐えるような表情、初めて見たわね。
何に耐えているのかは知らないけど、いい気味ね。たまには、そうやって耐える辛さに打ちのめされれば良いのよ。
「話しが脱線したわね。愛のない婚約だけど、婚約は婚約よ。あなたとアラン様がただの友達なら良いの。私の考え過ぎだったわ。ごめんなさいね。でも、思わず疑ってしまうほど二人の距離感がおかしかったのも事実よ。愛のない結婚でも、蔑ろにされたいわけじゃないの。あなたに理解を求めてはいないわ。でも、それだけは念頭において欲しいの」
私は母のようになりたくはないから。あなただって自分の母親みたいに日陰者にはなりたくないでしょう。正妻の死を今か今かと待ち望む日々なんてきっと疲れるだけよ。ましてやあなたは男。あなたの母よりも貴族社会はあなたに冷たく当たるでしょうから。
「私が言いたいのはそれだけよ。それじゃあ、失礼するわね」