義弟に婚約者を奪われ、悪女として断罪されましたがなぜか邪神に溺愛されハッピーエンド?を迎えることになりました🐍
7.疑念
夢を見た。どんな夢だったか覚えていない。でも、目を開けると涙が一筋、溢れた。
私はざわざわする心を落ち着かせるために深呼吸をした。
起きて、食事をして、いつも通りアラン、ランと学校へ行く。馬車の中では相変わらずアランとランが喋っている。誰も私には話しかけてこない。私も彼らに話しかけたりはしない。というか、話す隙がない。この馬車内で、私は空気のようなものだ。これではどちらが婚約者か分からない。
いつも見ている。変わり映えしない景色を見るふりをしてランに視線を向ける。
楽しそうにアランと話す彼はふと、アランが触れただけで頬を染め、照れる。そんなランをアランは優しい目で見ていた。これは本当に友人同士の触れ合いなのだろうか?
二人の醸し出す雰囲気やお互いを見る目がそれ以上の関係を示しているように見える。
・・・・・私も、お母様と同じ末路を辿るのかしら。
いや、お母様とは違う。だって、ランは男だもの。跡取りが必要な貴族の結婚で同性同士は認められていない。愛人として囲う人はいると噂で聞くぐらいだ。
アランはどういうつもりなんだろう?
モヤモヤとした感情が渦巻いている。
二人に真相を確かめたいと思う反面、知るのを怖いとも思う。
アランのことは異性として意識したことがない。でも、だからって浮気を許せるわけでもない。そんな私の考えはおかしいのだろうか?
「フィオナ、どうかした?」
ぐるぐると考えている間に、アランとランは行ってしまい、代わりにリリーが心配そうに覗き込んできた。
「ねぇ、リリー。リリーは婚約者が浮気をしていたらどう思う?」
「えっ!?モンド伯爵令息って浮気しているの?」
「ちっ、違う。違うよ。そうじゃないくて、もしもの話し」
「なぁんだ」とあからさまにホッとするリリーには浮気を疑っているなんて話せない。ましてや相手が自分の義弟なら尚更。
「私なら絶対に許せないね。浮気は男の甲斐性なんて言葉、大っ嫌い!どうして男の浮気は許せて女の浮気は許せないのって思う。女が浮気をしたらすぐふしだらだって糾弾するくせに、男の浮気を許すのがいい妻なんてあり得ない」
リリーはまるで自分の婚約者が本当に浮気をしているような勢いで憤慨し、ついでに心配そうに私を見る。
「もしかして、婚約者に浮気の兆候が見られるの?」
「う、ううん。何となく、気になっただけ」と返す私にリリーはそれ以上追求しては来なかったが、納得はしていなさそうだった。そうだよね。いきなりこんな質問したら訝しむよね。
「あんた達のことだから、とやかく言うつもりはないよ。でもね、フィオナ」
リリーは私の前に立ち、私の両手を握る。
「もし、本当にモンド伯爵令息が浮気をしているのなら、その相手を絶対に許しちゃダメだよ。浮気をする男にも問題はあるけど、相手がいるのを分かっていて手を出すのはあり得ないからね。好きだからって何でもして許されるわけじゃない。そんなんじゃぁ、モラルは簡単に破綻する。浮気相手は徹底的に排除するべきよ!いい、分かった」
「え、ええ」
なんだか私怨が入っている?
リリーから家族のことはあまり聞かない。でも、貴族の夫婦仲が冷え切っていることは珍しいことではないのでもしかして、ご両親のどちらかあるいは両方が浮気をしているのかもしれない。
「それと、心配事があるのならすぐに確認するべきよ。内に溜め込んだっていいことないんだから」
それも、そうよね。結局は本人に聞かないと答えなんて出ないわけだし。
私はざわざわする心を落ち着かせるために深呼吸をした。
起きて、食事をして、いつも通りアラン、ランと学校へ行く。馬車の中では相変わらずアランとランが喋っている。誰も私には話しかけてこない。私も彼らに話しかけたりはしない。というか、話す隙がない。この馬車内で、私は空気のようなものだ。これではどちらが婚約者か分からない。
いつも見ている。変わり映えしない景色を見るふりをしてランに視線を向ける。
楽しそうにアランと話す彼はふと、アランが触れただけで頬を染め、照れる。そんなランをアランは優しい目で見ていた。これは本当に友人同士の触れ合いなのだろうか?
二人の醸し出す雰囲気やお互いを見る目がそれ以上の関係を示しているように見える。
・・・・・私も、お母様と同じ末路を辿るのかしら。
いや、お母様とは違う。だって、ランは男だもの。跡取りが必要な貴族の結婚で同性同士は認められていない。愛人として囲う人はいると噂で聞くぐらいだ。
アランはどういうつもりなんだろう?
モヤモヤとした感情が渦巻いている。
二人に真相を確かめたいと思う反面、知るのを怖いとも思う。
アランのことは異性として意識したことがない。でも、だからって浮気を許せるわけでもない。そんな私の考えはおかしいのだろうか?
「フィオナ、どうかした?」
ぐるぐると考えている間に、アランとランは行ってしまい、代わりにリリーが心配そうに覗き込んできた。
「ねぇ、リリー。リリーは婚約者が浮気をしていたらどう思う?」
「えっ!?モンド伯爵令息って浮気しているの?」
「ちっ、違う。違うよ。そうじゃないくて、もしもの話し」
「なぁんだ」とあからさまにホッとするリリーには浮気を疑っているなんて話せない。ましてや相手が自分の義弟なら尚更。
「私なら絶対に許せないね。浮気は男の甲斐性なんて言葉、大っ嫌い!どうして男の浮気は許せて女の浮気は許せないのって思う。女が浮気をしたらすぐふしだらだって糾弾するくせに、男の浮気を許すのがいい妻なんてあり得ない」
リリーはまるで自分の婚約者が本当に浮気をしているような勢いで憤慨し、ついでに心配そうに私を見る。
「もしかして、婚約者に浮気の兆候が見られるの?」
「う、ううん。何となく、気になっただけ」と返す私にリリーはそれ以上追求しては来なかったが、納得はしていなさそうだった。そうだよね。いきなりこんな質問したら訝しむよね。
「あんた達のことだから、とやかく言うつもりはないよ。でもね、フィオナ」
リリーは私の前に立ち、私の両手を握る。
「もし、本当にモンド伯爵令息が浮気をしているのなら、その相手を絶対に許しちゃダメだよ。浮気をする男にも問題はあるけど、相手がいるのを分かっていて手を出すのはあり得ないからね。好きだからって何でもして許されるわけじゃない。そんなんじゃぁ、モラルは簡単に破綻する。浮気相手は徹底的に排除するべきよ!いい、分かった」
「え、ええ」
なんだか私怨が入っている?
リリーから家族のことはあまり聞かない。でも、貴族の夫婦仲が冷え切っていることは珍しいことではないのでもしかして、ご両親のどちらかあるいは両方が浮気をしているのかもしれない。
「それと、心配事があるのならすぐに確認するべきよ。内に溜め込んだっていいことないんだから」
それも、そうよね。結局は本人に聞かないと答えなんて出ないわけだし。