ぴか★すき
「ってか、朱里はもう…わかってたと、思うけど。
俺、朱里に…キス、しちゃったもんな」



…それでも。

やっぱりこんなに、どきどきしちゃうんだよ。
そのセリフを、朱里じゃなく、私に向けてほしいんだよ。
その手を、また握りたいって思うんだよ。

「朱里と凪月」としてでもいいから、触れてほしい。



「あたしも、だよ」


私は、ずるいかな。
自分で描いたマンガを、使おうとしてる私は。

…このセリフのあとのキスシーンまで、このなりきりを保たせようとしてる私は。


「…え?」


だめだよ、大目くん。
そんなセリフは、無いじゃない。

そのびっくりした顔が、私の口を、心を動かすの。
私を、梨陽先生じゃない、ただの「片山梨柚」に戻すんだよ…。



「凪月のことが、すき。

凪月がキスしてくれたときも…本当は嫌じゃなかった。
恥ずかしくて、恥ずかしくて、逃げちゃったけど。
そのあとも、避けちゃったけど。

本当は……」



本当は……

本当はね?






「だいすきだよ」

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